青い向日葵
その時だった。
「おーい!」
女の子の声がした方を二人同時に振り返ると、堤防から制服姿の沖田春野が、自転車にまたがりながら大きく手を振り叫んでいた。
この前とは真逆の、満面の笑みを浮かべて。
俺は、無邪気に手を振る春野を見て、喉の奥の方が熱くなるのを感じた。
春野は、自転車を桜の木の下に止めると、嬉しそうに俺たちの方に向かって勢いよく走ってきた。
野郎二人が突っ立って、その様子を眺めていると、春野は川原の石に足をとられたのか、突然豪快にこけたので、俺たちは思わず「あ」と同時に声を漏らしてしまった。