青い向日葵


重い足取りで教室に向かうと、いつもと空気が違っていた。


なんだか少し騒々しい。


首を傾げながら自分の席に向かおうとすると、行く手を阻むように女子が俺の前に立ちはだかった。


それは杉本に告白した、あの増田瑠実(るみ)だった。


増田の顔に鬼気迫るものを感じ、じっと彼女の顔を見つめると。


「杉本くんが事故に遭って、重症なんだって」


と、唸(うな)るような声で言った。


「え?」


事態が飲み込めず、眉をひそめると。


「昨日、飛び出した子供を助けようとして、車にはねられたんだって」


絶句してしまった。


口の中の水分が、一気に乾ききったような感覚になった。

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