青い向日葵


するとようやく観念したのか、春野の力がふっと抜けたかと思うと、俺のシャツをぎゅっと掴み、声をあげて泣いた。


「昨日、わたしが一緒にいたいなんて言わなかったら、こんなことにならなかったの。わたしのせいなの。全部わたしが悪いの」


春野は俺の胸を叩きながら、号泣した。


俺は、自分の腕の中に春野を収めているのに、彼女がとても遠く感じた。


春野は、自分から杉本と一緒にいたいって言ったんだ。


春野の気持ちは、杉本にあったんだ。


抱きしめていた腕の力が、一瞬、抜けた。





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