青い向日葵


部屋の中は雑然としていた。


通された小さな和室に、必要最小限の祭壇があった。


そこに置かれた小さな白い箱。


そして、すましているどこか冷めた目つきの春野の遺影。


残酷な事実に胸が締めつけられた。


息ができなくなりそうになった。


「春野ちゃん……」


喉の奥から搾り出された声とともに、目から涙が溢れた。


「お前の好きなひまわり、持ってきてやったぞ」


俺は、溢れる涙をどうすることもできないまま、小さくなってしまった春野の前に、ひまわりの花束をそっと置いた。

< 82 / 108 >

この作品をシェア

pagetop