青い向日葵


だけど。


いつまでも色褪せない感情がある。


小さな棘はまだ刺さっている。


この花を見ると思い出すのだ。


太陽に向かって咲き誇る、ひまわり。


うだるような熱さの中、まるで生命力を主張しているようだ。


俺はハンカチで汗を拭いながら、涼を取るためにあるオフィスビルに入った。


ここの喫茶店で昼飯でも食べよう。


冷房の効いたロビーでふぅと息をひとつ吐いたその時。


自分の目の前を車椅子が横切ろうとしていた。


ふとその主を見た途端、俺の体は固まった。

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