ちび×ひめ Ⅰ



パタンッ

と書物を閉じ、とある青年は呟いた。

「これだけか・・・」


・・・・・・司郎。

約束は守ってやろう。

お前の孫娘を――。


しかし、人間とは難儀な生き物よ・・・・・・。

そう黄昏ながら青年は、夜のさしかかる月を背に、

涼やかな春の風に心地よさを思いはせ、息をついた。




もうすぐだ、司郎。


君の孫娘に会えるのは・・・・・・。


それまでは眠りにつくとしよう。





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