†不思議の童話館†
「アリス」
少女が男女と微笑み交していると、黒猫を抱いていた猫耳少年が声をかけた。
「どうしたの?チェシャ」
名を呼ばれ、振り返った少女は、首を傾げる。



「アリスは、ずっと一緒にいたいって言うけど、アリスはこの世界の住人じゃないからいつか歳をとって死んでしまうよ」
「チェシャ!お前、何て事を・・・!」
「口を慎め!」
シルクハットの青年と、銀髪の少女が怒った様に叫んだ。
しかし、少年は気にする事なく、
「ねぇ、アリス。ずっと、俺達と一緒にいたいなら、約束して」
少女の瞳を見つめて、言った。



「約束?」
「そう、約束。これから先、いくら生まれ変わっても、どれだけ離れても、俺達の事忘れないって。アリスが俺達の事を忘れない限り、俺達は君を守る。ずっと、友達だ。だから忘れないで。君が、今の君じゃなくなってても、きっと探し出すから」
少女と少年は、無言で見つめ合った。
他の男女も、一言も喋らず少女を見つめている。



「うん、忘れないよ。皆の事を、忘れるわけない」
そんな中、青い目の美しい少女は、太陽の光に金の髪を輝かせ、微笑んだ。
「約束ね」
少女の声は、森を抜ける爽やかな風に乗って、森の中を過ぎていった。
少女、『アリス』の物語はこうして始まった。
永遠につむがれる、物語が―・・・。
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