アニマルマジック
**003
キス……
新鮮な気持ちになる。私は今までそんな経験もないし情報も知らなかった。
恋人同士が何をするのかも全く知らなくて。
次の段階もすぐに来た。私が叫んで何か分からない間に終わった。
その段階とは9月の初めだっただろうか。私は竜二に出会って2ヶ月がたつ。
付き合ったことも一週間立たないうちに全校生徒に広がった。先生にも広がったらしくてテニス部の顧問にはやけに心配された。
そして竜二は少し大人しくなったらしい。私のおかげだと、いろんな先生に誉められた。
いや、あれは誉めじゃないか……。
先生が竜二のことで困っていたらすぐに私が呼ばれた。
そう、なぜか私が言うと大人しくなって素直に聞く。
もちろんあの口の悪さも変わらないし、無愛想なのも変わらない。
でも私の前での彼はヤンキーじゃなくてただの少年に見えてくる。
竜二はプロレスが大好きで1日1回はプロレスの話をしている。
あの選手はどうだとか、技がかっこいいとかとにかくプロレスの話をしているときの真剣な眼差しの竜二が可愛くてたまらない。
私はそんな姿にいつも笑みがこぼれる。私はそんな竜二が大好き。
最初の半端な気持ちじゃなくて私もどんどん竜二に惹かれていった。