tiramisu.


「遊んでもいいけど、何もしないでよ」
私はキツく言った。
「大丈夫!心配しないで」軽く微笑んだ。
大丈夫かな?
止めようかな?って悩んだけど同じ学校らしいし、大丈夫かなっても思った。
「んじゃどこ行く?」
彼は私の肩に手をかけた。同時に顔がひきつった。
すぐにその手を肩からはずした。
「触らないで。」
ギロリと睨む。
一瞬ビックリした様子。
でも、すぐに笑顔。
「分かったー」
本当に分かってるの?
なんか本当にチャラい。
この人の第一印象は゛チャラい゛。
私達は、川原を出て、街に行こうとした。
この人・・・。
通学カバンも持ってない。財布しか持ち物はないみたい。
この人もサボりだろうか。「で、何年?ちなみにオレは2年だけど。」
「私も2年。」
「ヤベ!タメか!!同中だよね?」
「うん」
この人テンション高いな。てか、私なんかと遊んで楽しいのかな・・・?
私、明らかに、この人をよく思ってないし。
私を誘って失敗。とか思ってんのかな?
友達多そう。
この人、明るいし。
「そういえば、名前聞いてなかった!名前は?」
隣を歩いている私に近づいてきたから、私は彼から2歩離れた。
本名を言っていいのか、少しためらったけど。
「一ノ瀬彼音」
「カノかぁー!オレ三國。」
呼び捨てですか。
彼は苗字しか教えてくれなかった。
私は、偽名かもって思ったから、名前も聞いてみた。
「名前は?」
聞くと彼は少し悩んだ。
(やっぱ偽名?)
「分かんね。オレ名前ねんだ。分かるのは三國っていう苗字だけ。」
「意味わかんない。偽名じゃないの?」
三國はハハッって笑った。「偽名じゃないよ。まぁ学校ではルイって名乗ってるけど。好きに呼んでいいよ」
「んじゃ三國って呼ぶ」
偽物の名前呼んでもなぁって。
私は通学用カバンをぶらぶら揺らした。
でも・・・名前がないってどういうことなんだろう?
「なんで名前ないの?」
私は思いきって聞いた。
「久しぶりに聞かれたな・・・」
三國はハァってため息をついた。
その三國は、明らかに困ってる感じ。
聞いちゃいけなかった?


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