わかれあげまん


「そう嘆きなさんなって、柚。だって普通に考えてみな?密かに憧れてた先輩に突如誘われ二人きりで飲んで?その上お持ち帰りされてベッドで一夜を共にしたってソレ、めちゃくちゃ美味し過ぎる展開じゃん」


下唇を噛んだまま顔をしかめて、柚は頭を揺すった。



「だから、あたしの場合は普通じゃないんだって」


「柚~」


「先輩とは絶対、そーゆー関係にならないって決めてたのに……」


柚のその先の台詞を見通してなのか、美也子は天を仰いでやれやれとまた溜息をついた。



「あたし本気で、好きになりかけてたのにぃ」


「だったらお持ち帰りされないよう、何で踏ん張れなかったのよ!そこがアンタのダメなとこなんだからね?自覚なさい柚!!」


人差し指を突きつけてピシャリ言う美也子に返す言葉は見つからなかった。


「うぅうーっっ」


っと呻いてまたテーブルに伏せ、泣きだす柚。


周りにいた学生たちも、何だ?と訝しげに見てくる。
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