わかれあげまん
「まあ、俺らもよくわかんねえから適当に誤魔化しといたけどさ。渡良瀬さん、何かお前に対して敵意剥き出しぽかったぜ。」
「ありゃちょっとヤバイ感じだったぞ?哉汰。…どうすんだよ。」
哉汰は僅かに眉間に皺を寄せると、自分の周りにたかっている一同を押しのけソファに歩み寄ると、どかっと座り込んだ。
そしてポケットからタバコを取り出し火を点け、苛立たしげに一服し、フッと勢いよく煙を吐いた。
「…」
難しい顔のままなかなか言葉を紡ごうとしない哉汰に痺れを切らしたように一人が言った。
「つかさ。マジで星崎さんとどういう関係だ?お前。」
「別に。バイト先が同じってだけだよ。渡良瀬さんにもそう説明したし。」
彼は顔を顰め、うーんと唸った。
「わかんねえわ、俺。だからって渡良瀬さん差し置いて星崎さん連れ出す必要があったのか?」
「そんなのどうだっていいだろ。」
説明するのもめんどくせえよ。とでも言いたげに気だるく答えた哉汰は、ソファの背もたれ深くに背中を沈め、また煙草を吸った。