わかれあげまん
「お前さー。男女問わず常々面倒見がいいのは知ってるけど、星崎さんのことは別にしといた方がいいぜ?星崎柚は今、渡良瀬さんのもんなんだしよ」
諭すようにそう言ったルームメイトを、哉汰の涼しく鋭い瞳がきっと捉えた。
「誰のものでもねえよ。あの人は。」
「う?」
「…誰のものでもねえ。」
低く静かにそう繰り返す哉汰の口元には、微かな笑みが含まれていた。
* * *
同じ頃。
「クッソ。…」
VD4部屋の自分のデスクに乗せた長い両足を組み、悪態をつきながら目を吊り上げている渡良瀬に。
「まあまあ、そうイライラするなよ渡良瀬。」
こちらではというと、同じVD4のルームメイトが苦笑しながらそう宥めていた。
「…柚は今俺のもんなんだぞ!?藤宮のやつ、何のつもりだ?」
ブーツの踵でガンと乱暴にデスクを打ち鳴らし、渡良瀬はまた畜生と悪態をつく。