ライフ・フロム・ゼロ

ミーティングルームを出て、
そのままひと気のない給湯室に入る。


携帯の着信履歴からサヤを探すと、
上から二番目に表示されていた。


その名前の横には、留守電のマーク。
サヤから土曜の夜に電話が入っていたことに
今の今まで気づいていなかった。

私にはこういうことがよくある。


今日の無断欠勤となにか関係があったんだろうか。

そのまま着信履歴からサヤに電話をかける。

律儀な彼女は、いつもなら
10コールもしないうちに応答するのだけど、
今日はその気配がなく、
やがて留守番電話につながった。


「梨花です。サヤ、今日
 どうして会社来てないの?
 大丈夫?みんな心配してるし、
 早めに連絡頂戴ね。お願い」


それだけメッセージを吹き込んでおいて
携帯をしまおうとした時、
手の中の携帯が振動した。


画面を見ると、
「樋口清香」の文字。


サヤからの着信だった。
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