ライフ・フロム・ゼロ

その時視界に、ナカの席の端に置かれた
ビニールをかぶせられた傘が目に入った。


透明の、コンビニ傘。



自分の席の端に置いた、
秘色の傘の柄を握り締める。


言葉が零れた。



「…傘、いつものじゃないね」


「あ、うん…出かけた先に忘れちゃって。
 明日取りに行くんだ」



「出かけた、先」


「うん、そうだけど…?」

< 131 / 182 >

この作品をシェア

pagetop