ライフ・フロム・ゼロ


自分の指が震えているのがわかる。


「…あのね」

「ん?言ってごらん?」


ナカは優しい。
私は、ナカが好きだ。


今もこうやってナカは私を心配してくれている。
仕事が終わったばかりの疲れた身体で駆けつけてくれている。


「………」


「サヤ?」



もう、それでいいじゃないか

それだけで、充分じゃないか

言わなくても、いいじゃないか



「………………」


「………………」


「お待たせしました。ミルクティーです」



沈黙を割るように
店主が恭しくテーブルの上にミルクティーを置いた。
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