ライフ・フロム・ゼロ
「サヤ、ファイトだ!
じゃ、そろそろ出よっか?」
「うん」
ナカと割り勘で会計を済ませ、
一緒に駅の方まで歩いてゆく。
ついこの間まで暑かったのに、
夕暮れの街に吹く風は涼しいを通り越して冷たい。
「ずいぶん寒くなってきたねぇ」
「なんかサヤ、おばさんくさい!」
「失礼な」
「でもまあ、私らも20代半ばまで
来ちゃったしねえ…いつまでも
若い若いって思ってちゃダメなんだろうねぇ」
「ナカ、おばさんくさい」
ナカはちょっと笑って、
それから続けた。
「でもさあ、うちらもさあ、結婚とか
そういうの考えなきゃいけないねぇ」
「結婚?」