西野くんの偽カノジョ
家庭科の移動教室の帰り、ひとみと歩いていると
「結衣」
と少し懐かしい…でもすごく大好きな声が聞こえた。
ゆっくり呼ばれた方向に振り向くと、
なんだか具合が悪そうな顔をした西野くんが立っていて
あたしの手をぎゅっと握って
もう片方の手を壁について
あたしは壁と西野くんの間に挟まれた。
周りからはキャーキャー黄色い声が響いてたけど
西野くんの見つめてくる目から逸らせなくて
あたしもただ西野くんを見つめていた。