キミがいた夏~最後の約束~
運命



「美鈴、あれとって」


「え?この雑誌?」



あれから私は毎日、夕方までテイクオフで働いてから橘先輩の家に通うのが日課になっていた



「あ~マジで退屈…動きたい…」



橘先輩はしばらく雑誌に視線を落としていたけれど、すぐにそれに飽きたのか雑誌を投げ出してそう呟いた



「まあ…ケガする前はあれだけ動いてたんだもんね…」


「まーな…」



橘先輩は足をケガしているだけに散歩はおろか運動系は全部ダメ



前より痛みは落ち着いて微妙にに動けるようになっただけに、反対にイライラが募るのだろう



「ゲームは?」


「飽きた」


「んじゃダンベル…」


「朝、ずっとしてた」


「…………」



うーん…


することかぁ…



グイッ━━……



え?


突然、腕を引っ張られて
橘先輩の前に膝を付く



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