キミがいた夏~最後の約束~




チリリーン━―…‥‥


一週間ぶりの懐かしい音色



「いらっしゃ〜……

おおお!?」



「おひさしぶりです…」



私は遠慮がちにテイクオフの店内に足を踏み入れ、私を見て驚いているトビーさんに少し照れながら挨拶をした



「うん、久しぶりだねぇ…もう来てくれないのかと思って寂しかったよぉ〜」

そんなことを言いながら笑いかけてくれるトビーさん



それだけのことなのにとても嬉しい


私も、またここに来れるなんて思ってもみなかったから




「俺は無視か?」


「あれ?お前いたの?」


「ちっ」


こんなやり取りがまた見れるだけで、おかしくて笑顔になる



「何それ?妬けるなぁ〜」


するとトビーさんが何かに気がついたように、私たちの手を指差して笑った



私はその言葉に手を繋いでたことを思い出して、恥ずかしさで手を離そうとしたけどれど

先輩はギュッと掴んで離してくれない



「あ〜、晴れて俺のモノになったんでぇ〜
以後お見知りおきを〜」



橘先輩は離すどころかそのまま繋いだ手を持ち上げて、店内全員に聞こえる声で宣言するから



それを聞いた店内にいた先輩の知り合いだろう何人かの人から冷やかしの声があがった



う…


恥ずかしすぎる…



「あ〜あ…美鈴ちゃん返品はききませんよ?」


「は?俺、返品したことはあってもされたことねーよ」


「俺はお前を処分したいよ」


「ちっ!」



「ぷっ」



2人同時に私を見る


「息ぴったりで仲いいですね」

2人とも納得いかない顔をしているけど

私は楽しかった、またここにこれたこと…

橘先輩といられることに…






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