いつか会えるね
朝6時。

母に電話。

「朝まで飲んでた~。朝ごはん食べて帰るね」

『はいはい』

ガチャ


分かってるのか、嘘を信じてるのか、母はちゃんと連絡すれば、朝帰りでも、何も言わない。

連絡しないと、心配するのよって怒る。

野たれ死んでるんじゃないかって。

心配なんだって。


「お母さん、大丈夫だった?」

ヒロくんが、ベッドから起き上がった。

「うん!」

ヒロくんに抱き付きついた。

「ヒロくーん、トイレ行きたい…」

寮は部屋がひとつだけ。

おトイレ、お風呂は協同。

隠れて行かないといけない。

女の子が来てるのは、暗黙の了解なんだって。


「おぅ!」


ヒロくんは、ドアを開けて、廊下を伺う。

親指をたてた。

「ゴー!」


ヒロくんのスリッパで、廊下をパタパタ走った。



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