新撰組のヒミツ 壱
名字は『井岡』というものに改名されていたため、気付くのが遅れた。しかし、俺がお前の顔を忘れるはずがないのだから。




会いたかった、光――――。




一つに纏めた長い綺麗な髪。黒の羽織と袴を身に付け、いかにも堅い雰囲気を纏った光がいた。



――最後に会った時は2年前。



太陽のように暖かい笑みを浮かべていた彼女は、いつも月のように消えてしまいそうな儚さをも兼ね備えていた。


そして、女子で意外と泣き虫だったくせに、負けん気が強く、努力を外に見せない影の努力家でもあった。


いつも屈託の無い柔らかな笑みを浮かべていて、明るくしなやかで強い。学に通じている利発な少女。


それが山崎の知る“下川”光だ。


あれから二年で大人の女に成長した彼女は、誰もを惹きつける美しさを持っている。同時に、触れれば崩れてしまうような、危うい存在に感じた。


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