魔界動乱期
炎に巻き込まれ上昇した水黎がその身を消滅させるとき、炎駒が到着した。

「リュウソウ!」

「炎駒か。残念だが、水黎は既にこの世から消えた」

「貴様……!」

そのとき、ドサッと黒焦げになった何かが落ちてきた。

「水黎……?あの炎で消滅しなかったのか?」

リュウソウが言ったとおり、その物体は水黎であった。
空色の体毛は焼けただれ、命の灯をわずかに残すのみ。

「兄貴!」

「えん……く…。怒るな。リュウソウは……きっと、わかってくれ…る……」

そう言った後、水黎は静かに息をひきとった。

「あ、兄貴……」

呆然とする炎駒に、リュウソウはツカツカと近寄ってくる。
そして水黎の亡骸に触れた。

「俺の炎で消滅しないとは、さすがに影の実力者。戦う気があったら、少々手こずったかもしれんな」

その言葉に炎駒は全身の毛を逆立てた。
そして怒りのままに炎化へと姿を変える。

「‘手こずる’だと……?それが同じ国の仲間に対する言葉か!?」

「ふっ……。俺は麒麟という種族を過大評価していたようだ。これしきの実力なら、俺は武闘派を率いて新たな国を建てる。すなわち、お前らは仲間などではない」

炎駒はそのまま水黎の亡骸を見たまま、ボソっと呟いた。

「聞いたか兄貴……。あいつは……‘敵’だ!」

炎駒の炎をが更に激しく燃え盛る。

「炎駒よ、炎をも蒸発させる真の炎で消えるがいい!」
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