ブラッディマリー
 


「迷惑、でしたね。すみません」



 少女はぺこり、と頭を下げる。


 ようやく帰れる、と和が息をつくと、少女は「でも……」と呟いた。



 また、目と目が合った。





「帰れる場所はないの。逃げて来たから」





 和の脳裏に、さっきの彼女の言葉が甦る。





『……殺して……』









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