ブラッディマリー
 


「──は……っ、和……っ」



 血の味のするキスに、万里亜の本能がくすぐられているのが判った。


 和は自分のシャツの衿を緩めると、万里亜の顔をそこに押し付けるように抱きしめる。万里亜が震えながら息をつくのが判った。



 ──首筋に走った激痛に一瞬顔を歪めながら、和はそのまま万里亜の中に身を投じたい衝動に駆られた。



 血を与えながら、万里亜を欲しいと思うだなんて──マゾの気はなかった筈なのに。


 万里亜が和にしがみついて泣き出した頃、ようやくその衝動も治まった。



 俊さん、俺、大嘘つきだな。


 こんなの『好き』とかで片付けられるわけないじゃん。



 ……もう充分、惚れてるよ。









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