ブラッディマリー
 


「……それが本当だとしたら、人間になった黒澤に万里亜がやられてるのは気に食わない──そういうことか?」


「ご名答」



 澄人はそのまま素早く和のシャツの襟を掴み、引き寄せた。


 息がかかる程近くに、お互いの顔がある。澄人の冷たい瞳がぞわりと神経を撫でるようで、和は寒気を感じた。



「でも、黒澤にヴァンパイアの血が流れていたとしても──君が万里亜と交わるのは我慢ならない」



 澄人の手に力がこもる。そこから感じるのは、憎悪と……。


 目の前の瞳が赤く染まり、そこに浮かんだ感情が、和の胸を射抜いた。



「お前……万里亜を……?」





「──ああ。愛している」




.
< 146 / 381 >

この作品をシェア

pagetop