ブラッディマリー
 

 和が振り払おうとした澄人の手はびくともせず、人外のものである力がそこにあった。



 にやり……と笑った澄人の口唇から、鋭く尖った牙が零れる。





「貴様が消えれば、万里亜も諦めて戻って来るしかないだろう? ──だから、貴様には死んでもらう」





 ネクタイを締めたシャツの襟は澄人の爪であっさりと引き裂かれ、和は自分の首の皮がぶつり、と破れる音を聴いた。




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