ブラッディマリー
 


「……あいつ、お前に血はくれなかったのか?」



 万里亜の目の怯えた影に、恐怖が宿る。


 和の視線から逃れるように、万里亜は目だけをそらした。



「……澄人兄さんもあたしと同じ、だから……」


「だからって、お前を犯る必要ないだろ?」



 震える万里亜の口唇が、噛み締められる。



「……そうだよ。あたしも、やめてってその度言った。けど、止まらなかった」


「血の代わりに?」



 万里亜はこくん……と頷くと、縋るような瞳を和に向けた。その瞳が潤み出し、欲望の色が濃くなる。



 ……沸き上がる怒りは己の髪と同じく、白。



 和は噛み付くように、万里亜に口づけた。細い腰をきつく抱いて、舌を絡める。

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