ブラッディマリー
 


 夜ごと人前でいいように見せびらかされては、放置。


 ただの飾りにされたようなその暮らしは、女として決して満足いくものではないことを、和は本能的に察していた。


 おまけに和の父親は、夜家を空けることが多い。それは仕事の為であったり、外にいる他の女の為であったり……理由は様々で。



 老い始めた和の母親を尚美とすげ替えて満足した父親が、安心して新しい外の女を手に入れたことは確かだ。



 そんな現実を尚美に突き付けてやったのは、完全に自分の愉しみの為だった。


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