ブラッディマリー
「すごい美少女だな、おい」
倒れ込んで来たまま気を失った少女を抱きかかえ、とりあえず和はそのまま店に戻った。
その姿を見て驚いた俊輔は、少女をソファーに横たえるよう促した。そして少女の顔をしげしげと眺めると、溜め息をつく。
「芸能人でも、ちょっといないだろ」
言われて和は、少女の顔を改めて見つめた。意識を失っているから、少し気が引けるけれど。
額にはりついた前髪を、そっとよけてやる。
閉じた瞼を飾る睫毛が長い。瞳を開いて瞬きをしたら、ばさばさと音がしそうな気がした。
「おい、和。その子任せて大丈夫か?」
心配そうにしながらも、俊輔は車のキーを鳴らしながらそわそわしている。
“HEAVEN”の閉店時間は1時。どんなに客が入ろうと、俊輔の都合でぴたりとその時間で閉店する。
理由までは知らないが。
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