ご主人と使用人



「……二階って言ってたっけ」



今はみんな出払っているのか、執事室はとても静かだ。


恐る恐る階段をのぼりフラフラ歩いていると、各部屋にネームプレートが掛かっているのを見つけた。


もしかしたら私のもあるんじゃないかと思い、探してみると、本当にあった。


嬉しくなってドアを開けてみると、今まで住んでたアパートや実家のリビングより広いのに驚いた。


可愛いドレッサー、シンプルで使い勝手の良さそうなクローゼット、さらには洗面所やトイレ、お風呂までついている。


ベッドもおっきくてふかふかー……

と、

ベッドに飛び込もうとした私はそれをやめた。


何かいる。

色素が薄い毛色の何かが。

もう一度部屋のネームプレートを確かめ、自分が間違えたわけではないことを確認して再びベッドを見てみた。


もぞっと動き、


「グンモーニン……」


と、発音のいい英語の挨拶で大きく伸びをしながら起き上がったこの生き物は、多分……こいつが噂のジャンなんだと思う。


おばあちゃんが言う"男前"ってたかが知れてると思っていたけど、これはあり得ない。

こいつがこの土地の持ち主だ、と言われても信じてしまうだろう。


まぁ、平たく言えばまんま王子様なのだ。



「シオか?」


目が合うと名前を呼ばれ、私はうなずいた。


「俺、お前と友達なりたい、思った」


そう言ってニコッと笑い、少しカタコトの日本語でさらに続けた。


「コレ、見てシオのこと、気になった」


そう言いながら取り出したのは私の履歴書。

そういえば、面接の日にテーブルの上に置いたまま忘れていたような気がする。











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