ご主人と使用人
「俺、ジャン。松さんの一番弟子」
……"松さん"?
よくわからないけど、手を差し出され握手を求められたから、私はその手を握った。
強めの握手を交わすと、
「俺、サボり。そろそろ松さん、怒られる」
と、ジャンは真顔になった。
ジャンが松さんに怒られるのか、それとも松さんが誰かに怒られるのかはよくわからないけど、
まぁそんなことはどうでもいい。
「サボってちゃ、だめでしょ?」
やっとで出た言葉がこれだけ。
新人の私が注意をするのはどうかと思うが、でもサボりはよくないし、"松さん"も名前からして、
勝手なイメージだけど、頑固者の棟梁って感じ?
あ、棟梁って大工さんのことだっけ。
運び込まれている荷物の整理はあとにするとして、
机の上にある制服らしきものに着替えてみることにした。
これは……うん、
実物を見るのは初めてだけど、"萌え"とかなんとかのソレだった。
まだ比較的シンプルなデザインで、スカートがあまり短くないのがせめてもの救いだ。
「これ、シオも着るのか?」
……あ、まだ居たんだ。
「制服なんだから着るよ、そりゃ。はい、ジャンは松さんとこ行こうねー」
無理やりベッドから引っ張りだし、部屋の外に追い出した。