隣の秀才君


マイペースすぎる父の前にずっと突っ立っているわけにもいかず、複雑な心境を持て余したまま部屋に戻る。


「あ、そうだ」


自室に戻る手前、本来の目的を思い出した私はドアを開けたイケメンを押しのけて先に部屋に滑り込む。


「う゛っ!!」


若干力を入れすぎてゴンッとイケメンが顔面からドアにぶち当たった。

やばいと思う反面、不思議と罪悪感は全くと言っていいほど湧いて来なかった。


「あーごめんごめん」


「貴様、俺の顔に傷をつけたな…次は許さん!絶対にな!」


次でいいのか。
別に少し赤くなっただけで傷なんてつけてないけど、彼は相当お怒りのようで鋭い視線が私を刺す。だが別に怖くない。


「はいはい、すいませんでしたー」


自分でも全く心のこもっていない謝罪だと思う。その間にも私は兄の本棚から数冊のを抜き取る。
そんな私を見て彼はまたキレた。


「お前!この俺を侮辱しているのか!」


「だからごめんってば」


コイツ…顔は整っててスタイルも良いけど。


何て言うか…………面倒くさい上にウザい。


そんな見た目イケメンの速水と言う男が我が家に住み着いた今日この頃。







続く。
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