隣の秀才君
方向音痴の秀才君


ジリリリリとけたたましい時計の音で目が覚める。
薄く開けた目蓋が直ぐにまた閉じかける。
顔を振って何とか飛びそうな意識を保った。窓辺のカーテンを開き、射し込む暖かい日差しを一心に受けて私は大きな欠伸をこぼした。


「雲一つない澄み切った青空…か」


今日は快晴。












制服に着替えた後、まだ眠気の残る身体を引きずって階段を降りた。

リビングに入ると、キッチンに出入りする父の姿が目に入る。


「おう!おはよう、朔夜!」


「おはよー…ふぁあ」


いつものように挨拶を交わし、いつも私が使っている椅子に座ろうとした。したのだが、先客がいたのだ。
見覚えのある制服に身を包んだイケメン。うん、この顔も見覚えある。

昨日私が不審者と勘違いしたイケメンこと速水だ。

優雅に紅茶を啜る姿が絵になるのはイケメンの特権なのか、制服がよく似合っているのがまた腹立たしい。


「ちょっと、そこ私の席なんだけど」


「…ふん、俺の知ったことではないな」


「はぁーっ?いいから退きなさいよ!」


「断る」


「まぁまぁ、落ち着け。喧嘩すんなー。朔夜、大人気ないぞ」


 
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