触れることもできない君に、接吻を

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突然上から降ってくる図太い声に、俺の思考は一瞬にして打ち消された。
持ち主は先生のもの。
それは今が授業中だということを示していた。

「おい、久本。そんなに先生のことが嫌いかね」

俺は驚きで反射的に奇声をあげてしまった。

「ふわぁっ……!」
「なんだ、なんだ。その間が抜けた声は」

だけど周りからは何の声もなかった。
いつもだったら、「真人何言ってるの」とか、「馬鹿じゃねえの」とか、笑い声が飛んでくるのに。

「おや、なんだか今日は静かだな」

そう先生が、顎の髭を触りながら呟いた。
俺にとってはものすごく痛い一言だった。

俺はいじめられているのだから。
このクラスは、俺のことを必要としていない。

教室を包む雰囲気は、そう痛感させた。
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