美しいあの人
祐治は、あたしがいる時でもパソコンを触り始めるようになった。
もちろん何も書いてはいない。
ただ、あたしがパソコンにコピーしておいたテキストを、何度も何度も読み返している。
芙美子さんの買い与えた高価な服を着て。
あたしが書いて与えた、他の人にはなんの価値もない文字の羅列を眺めている。

あたしは満足していた。
自分さえ書くのをやめなければ、この生活が続くと思っていた。
店での成績は下がり始めていたけれど最低限の仕事はこなしていたし、
店でナンバーに入ることができなくても、
自分と祐治の暮らしを支えるだけの収入があればそれで構わなかった。
松井さんからメールで連絡があったのは、夏も終わろうとしている九月の後半だった。
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