美しいあの人
あたしの暮らしが極力普段のリズムと変わらないようにするために、
夕方から原稿を書き始め、朝方に祐治の部屋を訪ねたり、
食事のために祐治を呼び出すような形にした。
あたしのいない間に祐治が何をしているかはわからなかったが、会えれば嬉しかった。
原稿を書くのは大変だったけれど、祐治に会えたらその辛さは吹き飛ぶような気がした。
あたしと祐治はふたりで一人。
あたしが書いて、祐治が話して、それで西条祐治という作家が存在する。
松井さんはあたしと祐治をひとつにしてくれたのだ。感謝せねば。
辛くても苦しくても、あたしは祐治とひとつになるために小説を書かなくては。
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