美しいあの人

千鶴さんが、探し物を見つけたのかそのままどこかへ電話をかけていた。
「西条さんよ。あなた知ってるでしょう。
え? 名前知らなかったの? 随分話してたからすっかり親しいものだと思っていたわ。
ええ実はね。
西条さんと連絡を取りたいって言う人がいたんだけど
私も連絡先を知らなかったからあなた知ってるかしらと思って電話してみたのよ。
そう、知らないなら構わないわ。
急にごめんなさいね。ええ、はい。また遊びにきてね」
千鶴さんが電話を切って、ソファ席へ戻ってくる。
「演出の子の名刺があったから電話してみたわ。聞いてた通りよ」
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