美しいあの人
もしも、だけれど。
あたしの好意を彼が受け入れてくれて、
もしあたしを抱いてくれたとしても。
あたしはその羞恥に耐えられるのか? 
相手の方が美しいことに耐えられるのか? 
あたしがどれだけ店で可愛いとちやほやされたってそんなのはまやかしだ。
あたしなんかは偽物だ。たいしたことないのは自分が良く知っている。

涙が出てきた。

ハンドバックを乱暴にあさり、ポケットティッシュを出して目元を押さえた。
なにが悲しいのかは分からないけど、
祐治さんと会えなくなったらイヤだなと思った。

部屋に着いたら化粧も落とさずにベッドに倒れ込んでわんわん泣いた。
泣くしかできなかった。

どうしてあの人はあんなに美しいのだ。
あんなに美しいから、あたしは自分になにも自信が持てなくなってしまう。

なのに、それなのにあの人を欲しいと思ってる。
どうしたらいいんだ。
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