カクテル~Parfait Amour~
「やっぱり今もラブラブじゃない。
そういえば、水野さんは妃緒にひとめぼれだったって、僕に教えてくれたよ。」
僕が少し冷やかすと、ほてりを静めるようにグラスを口に運ぶ。

「妃緒、お待たせ。
どうしたの、顔が赤いよ?」
ビジネスバッグを手にした水野さんが、妃緒を迎えにやって来た。
「高裕さん、私にひとめぼれしたの…?」
「そうだよ。妃緒はちがうのかな?」
「私もひとめぼれしました。」
二人のやりとりは、見ている僕の方が赤くなってしまいそうになる。
「予約の時間になるから行こうか。
またゆっくりうかがいます。」
「ありがとうございました。
おみやげ、ごちそうさまです。」

相変わらず絵になるあの二人なら、容姿だけに惹かれて近づいてくる異性は少なくなかっただろう。
相手の全てを想い、想われている。その確信があるからこそあっさりと、『ひとめぼれした』、と言えるのだろう。
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