カクテル~Parfait Amour~
「舞咲、改めてはたちの誕生日おめでとう。
舞咲は小さいころから、自分の力でがんばる子だったね。それはとてもすばらしいことだけど、これからの人生もっと大変なこともある。うまく甘えたり、相談できるようになることも大切だよ。
パパやママにも、友達や彼にも言いたくない悩みだって出てくるだろう。そういうときにこれる場所があるのは、きっと支えになるから。
乾杯。」
父親として、経営者として年を重ねてきた水野さんの真摯な言葉だ。

「ピーチの味がします。」
「そうね。でも、私と舞咲には強いかも。」
「弱く作ってもらおうか。」
「そんなこと頼めるの、パパ?」
舞咲ちゃんが首をかしげると、黒のロングストレートの髪がさらさらとこぼれる。
「俺はこのままで。二人の分もいただきます。」
舞咲ちゃんも炭酸は大丈夫だという。
僕は二人のために同じ雰囲気の味になるように調整し、テキーラの代わりにソーダを使ってロングカクテルを作る。
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