Nocturne
あの高柳に言い張ったのよ、と藤代さんは言う。
ここも世間の皆様が知っている、有名な大企業の中に入っているだけあって、大きな会社だけど、高柳グループには及ばないのに。
刃向かったら、どうなるかなんてわからないのに。
だったら私なんて、引き渡せば、社の利益に繋がったかもしれないのに。
「私も本当焦ったわよ、あの天下の高柳にそういうんだもの。しかも会長にね。
財政会でも恐れられている、あの高柳 匡仙によ?
ほんと、こっちが参ったわ」
その時の光景を思い出しているのであろう、藤代さんは苦笑いを浮かべてた。
「だけど、高柳 匡仙は言ったわ」
「…」
「『ウチにも必要な人材なんだが』って」
あの匡仙様が、そんなことを…?
私は信じられなかった。
あれだけ私は嫌われていたのに。
皇の、足手まといになるから…。
なのにどうして…。
私は認められたってことなの…?
わたしは泣きそうになってた。