Nocturne




「…いいえ、引き抜きのことに関しては答えは一緒です。
私は、今の会社の役に立ちたいと思っているので、お断りします」

≪…なら何だ?≫

「…あの日、皇と別れた日からずっと、彼のことを忘れようとしました。
彼と入る世界が違う、私と居るべき人ではないと言い聞かせて、心に蓋をしました。
けど昨日、彼の姿を見て、やっぱり私は、皇の傍にいたい…そう思いました」

≪…何が言いたい?≫

「…皇と、もう一度、一緒になってはいけませんか…?」




都合のいい話だとわかってる。


親の昇格のために離れたクセに、また付き合うだなんて。

馬鹿げた話だとわかってる。


だけど。

私はどうしても、この先の未来を彼とともに生きていきたいんだ。




≪…ウチに来なさい≫

「え…」

≪…込み入った話もするのだろう。
今、金光を行かしている。そこにいなさい≫




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