Nocturne




「ですが」

「え」




逆接の言葉に私はまたもビックリした。




「貴女には貴女なりの良さがある」

「…私なりの良さ?」

「…旦那様…匡仙様に、『貴女について調べろ』と命を受け、私は貴女について調べました。
小学校は普通の市立。
中学受験をし、皇様と同じ学校に入学。
そして皇様と親しくなり、交際。
成績は極めて普通。
強いて言えば、漢字検定、英語検定、準1級取得。
そして、――――貴女は誰にでも優しく、そしてその人柄ゆえに好かれる」



「皇様は貴女のそういう所に惹かれていらっしゃいました。
貴女の家柄など、そんなことは気にしてはおられませんでしたよ」

「…ッ」

「貴女のそんな、外見には出ていない内に秘めた“魅力”に、皇様は惹かれていらしたのです」




無駄な心配だったのですよ、と金光さんは笑う。

家柄なんて、関係ないと。
よく彼は言っていた。

けど。
絶対に気にする日が来ると。

私は思ってた。


でも。
それは彼が、じゃなくて、私だったんだ。

私が家柄のことばかり気にして。



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