Nocturne




その樹里から発せられたその言葉一つが、皇にはどうしようもなく辛く、心にキテいた。


その言葉が真実なのか、嘘なのか確かめに来た。



また、どうして突然そんな事を言いだしたのか。
それを調べに。


そして一番信頼の置ける金光を引き連れて、樹里を待ち伏せしていた。


すると出て来るいろいろな事実。




皇の父親が、樹里の父親の昇進を邪魔していたこと。
そのことを樹里に言い、追い詰めていたこと。

そして、皇と別れることを条件に樹里の父親の昇進を約束していたこと。




その事を自分の所為だと追い詰め、自分の幸せよりも他人の幸せを優先して仕舞う樹里なら、別れて父親の昇進の為にと別れを切りだして仕舞う事は安易に考えられた。



…気づいてやれなかった事に皇は後悔していた。


毎日電話して居たのにもかかわらず、聞けばだいぶ前から皇の父親とはコンタクトを取って居たよう。

それなのにも関わらず気づくことが出来なかった自分の不甲斐なさに皇は自分を責めていた。



…樹里を愛しく想う気持ち。
それは変わらない。

きっと、
いや、

絶対、一生。





< 97 / 189 >

この作品をシェア

pagetop