俺様天使とのキスまであと指輪一個分。
「……私がいるから…もう…一人じゃないよ」
蒼は、フレンの大きな背中にそっと手を差し伸べた。
手のひらから、フレンの息遣いが感じられた。
美しく流れる金色の髪の間から、フレンのうなじがちらりと見えた。
それが妙に色っぽくて、蒼はどきりとする。
「フレン……もう…何も聞かないから……そんなに落ち込まないで…ね?」
何も分からず落ち込んでいたのは蒼のほうだったはずのに。
まるで妖艶な花の香りに、誘われた蝶のように。
フレンの人並み外れた美しさに、蒼は思考を奪われた。