俺様天使とのキスまであと指輪一個分。


千鶴が眼を覚ますと、寝ていたはずの蒼と美津子はすでに起きていた。

フレンもいつの間にか家に帰っている。


「どうやって塔に侵入する?」


美津子が頭を抱え、フレンも頷きながら案を出し合う。

蒼はそんな二人の邪魔にならないように、アンと一緒にキッチンでお皿を洗っていた。


「塔の入口を守る門番さえどうにか――」


美津子はまだぼうっとする頭をかきながら、キッチンに千鳥足で向かう。

「足痛いにゃあ。もう血豆だらけ」

「ママの履いてた靴があるから使う?」

「うん! 貸して貸して!」

急に仲良くなっている二人の様子を蒼は目を丸くして見つめた。


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