俺様天使とのキスまであと指輪一個分。
その隙に、蒼は風の力で浮き上がると、アレオン王とフレンの前に壁を作るように滑り込んだ。

王の元にたどり着いたフレンは、ただ力なくしゃがみこみ、王の膝の上に顔を伏せて何度も何度も呼びかける。

「父上…目を覚ましてください……父上…」

アレオン王は目を閉じて眠ってしまったように、何も答えてはくれない。


「すごいわ!!!」


凍った腕を自ら叩き壊し、片腕になった状態で王女は蒼の前に立ちはだかった。

「指輪の力…想像以上だわ!!」

王女は残った左腕を高く掲げ、黒い塊を空いっぱいに作り上げた。


「さあ…指輪の使者も私の魔力で操り人形にしてあげるわ」

< 315 / 353 >

この作品をシェア

pagetop