ルーズ・ショット ―ラスト6ヶ月の群像―
チン、と音がしてオレンジの光が消える。
「・・・そっか。わかった、わざわざありがと。」
「いいえ~。すまんね。」
「何が?」
「いろいろと。気ぃ使わせる。」
「そんなのいいよ。」

携帯を肩ではさんで電子レンジからコンビニ弁当を出す。
「アホの洋二のこと、よろしくな。」
「それは・・・知ったこっちゃないけど。」
ミツは少し苛立った。
「まあ、そう言うなよ。って、おれサトシくんぽくね?」
裕太は変わらず明るく言い放つ。

「年とるとみんなそうなるんじゃない?」
「ミツ、人をオッサン扱いすると・・・あ、わかったって。」
「彼女と一緒なんだろ?おれと長電話すんなって。」
「気が利くねえ。好きだぜ、ミッちゃん。」
「バーカ。」
「じゃあ、年あけたらすぐ羽月の誕生日だから。
その時はみんなでお祝いしような。」
「ああ、わかった。」

ミツは電話を切った。
しょうが焼き弁当のビニールを剥がす。
裕太との電話のせいで少し冷めた気がした。
味気ない冷蔵庫の匂いがする弁当を、
バカ明るいクリスマスソングを聴きながらミツはかきこんだ。

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