ルーズ・ショット ―ラスト6ヶ月の群像―
ミツはベッドに寝転がって天井を見つめていた。
思い出されるのは、公園を出て行く羽月とサトシの後姿だ。

むっくり起き上がって、薄壁を見つめる。
洋二の部屋からはなんの物音もしない。
もちろん、あの、ギターの音も。
ミツは、大きく息を吸って歌いだした。

 追いかけて 好きといえ
 おまえはいつも 後悔ばかり

二度聴いただけだが、そのフレーズだけは鮮明に覚えていた。
歌いながら、ミツは洋二は歌がうまいと再認識した。

洋二が壁の向こうで何を考えているのか、ミツにはわからない。
でも、もし声を殺して泣いているんなら、そのことだけでも教えて欲しい、
ミツはそう願ってワンフレーズだけを繰り返した。

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