ルーズ・ショット ―ラスト6ヶ月の群像―
あと1ヶ月

1

 守れたんだろうか? 
 それとも失ったんだろうか?
 まるで 全てが 夢だったんじゃないかと思う


解散ライブまであと二週間を切って、
フラワー・オブ・ライフの練習は佳境に入った。

ミツはいつものように、練習する四人をカメラで撮り続けた。
洋二はいつも通りだった。
音楽についてあれこれ言い、否定されるとふてくされた。
歌っている時はまっすぐ射抜くように前だけ見ているのに、
普段の会話ではすぐ目をそらす。

あの、羽月の誕生日の夜以来、洋二は羽月のことについて何も言わなかった。
それは他の三人も同じで、サトシも、裕太も、羽月も何も言わなかった。
ライブの準備は思った以上に忙しく、
今まで世話になった各方面の挨拶まわりなんかもサトシはしていて、
ミツもできることは手伝った。

この頃、フラワー・オブ・ライフを撮り溜めたDVテープは
二十本近くになっており、少しずつミツは編集を始めていた。

学校へ行き、授業に出て、バイトへ行き、ライブの準備に参加し、
夜は編集にとりかかる。
映像の中の四人は、やっぱりいつまでも輝いて見えて、
もうすぐバラバラになるかもしれない不安が、実感できずにいた。
実際、そんな切ない気持ちに浸れるほどの時間もないほどに、
日々は忙しく過ぎていった。

二月十四日。
フラワー・オブ・ライフ解散ライブ当日。
朝から細かい雪が舞っていて、ライブが始まる頃には
何もかもがうっすらと白く雪をかぶった。

昔からの知り合いだという小さなライブハウスの前の、手書きの看板も、
木枠に雪をかぶっている。
『フラワー・オブ・ライフ解散LIVE!』と書かれた文字を
ミツはカメラにおさめる。

真っ暗な空から花吹雪のように、あとからあとから破片がおりる。
電車は少し遅れたらしいが、ライブは予定通り始まった。
ミツが改めて驚くほどの人が詰め掛けて、
小さなライブハウスがいっぱいになった。

ミツは専門学校の友人を総動員して撮影メンバーを揃えた。
カメラの扱いに慣れた者を探して、紹介してもらった。
ミツは編集した映像を見せ、協力してもらえるよう頼み込んだ。
ライブそのものの映像は彼らに任せて、
ミツは手持ちカメラでステージに出るまでのメンバーを撮った。
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